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2017-01-06

デジタルリスクテクノロジーで、社会問題の解決をめざす──株式会社エルテス 代表取締役社長 菅原 貴弘

株式会社エルテス
証券コード 3967/東証マザーズ

代表取締役社長
菅原 貴弘 Takahiro Sugawara

テクノロジーの発展とともに、情報漏えいやサイバーアタック、インターネットにおける風評被害や炎上などのデジタルリスクが高まっている。2004年に創業したエルテスは、2007年からソーシャルリスク事業を本格的に開始、高度なデジタルリスクテクノロジーと豊富な実績を背景に、急成長を見せている。

取材・文/上條 昌史 写真撮影/和田 佳久

“ネット炎上”をいち早く検知し沈静化する


――主な事業内容を教えてください。

菅原 当社の主な事業領域は、ソーシャルリスクとインターナルリスクの2つです。まずソーシャルリスクとは、企業や著名人の“ネット炎上”のこと。いまネット炎上は頻発し、年間1,000件以上起こっています。とくに企業の場合、ソーシャルメディアに起因するインターネット上のリスクは、モノやサービスの購買活動はもとより、企業の業績にも多大な影響を与えます。当社では、独自の炎上データベースを活用した検知システムでソーシャルリスクをいち早く検知し、沈静化を図ります。「気づいたらYahoo! ニュースに載っていた」という事態になる前に、未然にリスクを防ぐのです。

――具体的には、どのようにソーシャルリスクを防ぐのですか。

菅原 法人名などに関する投稿を収集し、人工知能によって予め設定したキーワードを振り分け、モニタリングします。危険度の高い内容を含む投稿が確認された際は、緊急通知を実施し、沈静化に向けたコンサルティングを行います。ネット炎上はいきなり起こるわけでなく、発生から炎上までに拡散のプロセスがあり、数時間のタイムラグがあります。重要なのは初動です。最近は炎上が頻発しているため、初期対応を適切に行えば、後ろからやってくる“もっと面白い炎上”の方に流れてゆく傾向があるのです。当社では、独自の炎上データベースを活用した検知システムがあり、大学など複数の研究機関との共同研究で、画像検知システムの開発や自然言語解析にも取り組んでいます。ただし最近のネット炎上は、動画と一緒に炎上することが多く、動画の中身までチェックする必要があります。また、システム検知だけでは誤判定が多いため、当社では24時間365日体制で4時間毎の目視を実施しており、それも強みとなっています。

予兆検知で企業内部の情報漏えいを防ぐ


――インターナルリスクでは、どのようなサービスを提供していますか。

菅原 インターナルリスクとは、内部要因によるネット炎上や情報漏えいのことです。とくに日本企業では海外に比べて内部要因の割合が高く、2014年の総炎上件数の約72%が内部要因に起因するもの。情報漏えいについては約80%にも及びます。この背景には、日本には従業員を信頼する文化があり、セキュリティが甘いという理由があります。

 当社では、不正な兆候の足跡であるログデータに対して、リスク行動パターンを基に解析を実施し、リスク行動が検知された場合は緊急通知を実施します。たとえば、「共有フォルダの就業規則ばかりを見に来る社員は何かを訴えたり、辞めようとしている可能性が高い」という評価をします。不祥事や不正のシナリオをセットし、その可能性のある行動があればスコアリングし、一定の閾値にまで来たら通知をする予兆検知です。

 また最近は、初期対応で企業の謝罪の仕方が悪いと、社員が内部資料をマスコミにリークして“2次炎上”が起こる、というような相互作用のケースも増えています。当社では過去すべてのネット炎上をストレージしており、2次炎上したケースから謝罪の仕方が悪かったケースまでを分析、適切なアドバイスを行っています。

――そもそも、この分野に進出したきっかけは、何だったのですか。

菅原 創業当初はソフトウェア開発など複数のビジネスを行っていたのですが、2006年に口コミサイトが流行り、“Web2.0”というブームが起きました。自由な情報の発信というより、私は逆転の発想で、今後はネットで被害を受ける人が増えるのではないかと考えました。ゴールドラッシュ自体で儲かった人はいない、という有名な話がありますが、まさに口コミサイトの周辺産業にこそ、ビジネスチャンスがあると思ったのです。

2020年のオリンピックに向けてテロ対策に注力


――成長戦略を教えてください。

菅原 いま力を入れているのは、テロ対策に向けたサービスの提供です。少し前までのテロ対策は、前科のある人だけを見張っていればよかった。しかし最近はソーシャルメディアを通して〝テロを起こしそうな人〟を見つけること、予兆検知が重要になっています。

 当社では、SNSなどオープンデータと公的機関が持つデータを組み合わせたテロ予兆のサービス開発を行っており、既に伊勢志摩サミットでもサービスを提供しています。

 もともと当社が行っているビッグデータ解析は、統計と違って抜け漏れがないため、犯罪やテロリストの予兆検知と非常に親和性が高いのです。米国では、パランティア・テクノロジー社などベンチャー企業が、国家保安に携わる機関と提携することが当たり前になっています。当社も2015年に、政府系ファンドの産業革新機構から出資を受けるなど、ナショナル・セキュリティを任せられる信用力を向上させています。2020年のオリンピックに向け、この分野の需要はさらに高まっていくと予測しています。

――上場の狙いを教えてください。

菅原 資金調達というより、認知度の浸透や信用力の向上の要素が強いです。上場したことで、地方の企業からの問い合わせなども増えています。

 当社は過去5年、平均40%強の売上成長を継続し、着実に市場開拓を遂げています。私たちが目指しているのは、デジタルテクノロジーを通して、リスクを解決する社会インフラを創出すること。ベンチャー企業としては到達点が非常に高いのですが、あらゆるものが電子化される未来、私たちの役割は増々重要になってくるはずです。
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