挑戦するプロフェッショナル人材をサポートするプラットフォームを創造――株式会社みらいワークス 代表取締役社長 岡本 祥治
株式会社みらいワークス
証券コード 6563/東証マザーズ
代表取締役社長 岡本 祥治
Nagaharu Okamoto
大手企業といえども新規プロジェクトに多くの人材を投入する余裕がなくなっている。そこで求められているのがフリーランスとして働く豊富な経験を持ったプロ人材。企業の案件にプロ人材をマッチングさせるビジネスで急成長しているみらいワークスの岡本祥治社長に事業の概要と起業の動機を聞いた。
取材・文/山本 信幸 写真撮影/和田 佳久
高いスキルを持ったフリー人材に企業から請け負った案件を提案
── プロフェッショナル人材に特化したビジネスマッチングサービス事業とは、どのような事業なのでしょうか。
岡本 東証一部企業や外資系コンサルティング会社、大手SI会社などのお客さまから依頼された案件を登録しているフリーランスのプロ人材に紹介する事業です。取り扱う案件は事業戦略策定からIT導入、新規事業の立ち上げなど多岐にわたります。登録者数は6,400名以上(2018年1月31日現在)で日本最大級の規模です。
当社が顧客企業から委託された案件に対し、最適なプロ人材を選定して業務委託契約を結び、クライアントの経営課題を解決します。業務委託というビジネスモデルのため、案件管理・品質管理は当社が行います。それが顧客企業、コンサルタントの双方から高い満足を得ている強みです。
── 人材紹介や人材派遣は競争の激しい業界なのではないですか。
岡本 事務業務(低単価)よりの業務には人材紹介、人材派遣、個人請負ともに人材サービス会社が存在します。しかし専門・マネジメント業務(高単価)よりの人材紹介には転職市場をメインに扱う会社が存在するものの、人材派遣や個人請負の部分は空白。このブルーオーシャンが当社の事業領域です。
日本を元気にしたいという思いで起業を決意
── 起業までには波瀾万丈な物語があったそうですね。
岡本 コンサル会社に5年勤め、その後ベンチャー企業の経営企画室責任者として2年働き、2007年に起業しました。
起業したきっかけは、47都道府県を自分の目で見て回ったことです。会社員として働いていた頃、海外旅行でいろいろな国を訪問したのですが、その中で「日本のことをあまり知らない」ということに気がつきました。プロジェクトで地域のリサーチをしたことはあっても、実際に行ったことがない。そこで実際に全国を回ってみたのですが、地方には素晴らしい文化や食など良いものがたくさんある一方で、過疎化により疲弊した現実がありました。
そこで日本人として、もっと日本を元気にしたいと考え、「日本を元気にする会社」への転職活動をしました。ですがイメージに合う会社が見つからず、イメージを実現させるには自分で会社を作るしかないと思い起業を決意しました。
――事業のアイデアは当初からあったのですか。
岡本 いいえ。「日本を元気に」というテーマは決まっていたのですが、何をどうすれば日本を元気にできるのかがわかりませんでした。独立コンサルタントとしてプロジェクトに入り半年フルタイムで働いて資金を稼ぎ、新規事業に挑戦して失敗。またプロジェクトに入り半年後に新規事業に挑戦ということを何度も繰り返しました。
当時、個人で働く人をサポートする国の制度がほとんどない状況でしたが、そういった人たちが活躍することで、日本はもっと元気になるのではないかと考えました。というのも、個人で独立する人の中には地方創生や中小ベンチャー支援に携わりたくて独立するという方も多かったからですが、これらの活動は日本を元気にすることに繋がります。そこで、個人が活躍するための社会インフラがあれば日本が元気になると考えるようになりました。
起業の年(2007年)はサブプライムローン問題、翌年はリーマンショックに見舞われ、起業したものの食べていくのに必死でしたが、私は営業が得意だったので、徐々に仕事が取れるようになってきました。そこで請け負った仕事の一部を同じく個人で働く周りの人にお願いすると「ありがとう」と感謝される。コンサルタントには「クライアントファースト」という考え方があり、私も大切にしているのですが、クライアントからいただく「ありがとう」よりも、仕事の機会を提供した人からの「ありがとう」のほうが自分のモチベーションが高まることを感じました。それならば仕事を提供する側に回ろう。それが現在の事業を立ち上げたきっかけです。
政府の政策が追い風になりフリーランスの活躍の場が増える
―― 政府は「働き方改革」の実現のカギは「フリーランス」のような柔軟な働き方にあると言っています。
岡本 柔軟な働き方の動きは10年くらい前から起こっていたのですが、当時は多くの日本企業が個人に直接仕事を出すことをコンプライアンス的に好ましくないと考えていました。政府が「働き方改革」を打ち出してからは大きく風向きが変わり、今後ますますフリーランスの活躍の場が広がっていくでしょう。政府が検討している兼業の解禁も追い風になりそうです。
―― 今後やるべきことは何でしょうか。
岡本 フィンテックやIoTのような先端領域をカバーするフリーランスのニーズが高まるとみて準備しています。
また、現場のナマの情報を蓄積した人材データベースを強化し、フリーランスの皆さんを正しく評価するために、社内人材もプロフェッショナル人材へと育成する事も重要と考えています。
―― 2018年9月期の業績予想について教えてください。
岡本 売上高30億円(前期比31.9%増)、営業利益1億5,380万円(同23.1%増)、当期純利益9,800万円(同14.2%増)を見込んでいます。新興市場にいる間はしっかりと業績目標を達成して成長を続けることが株主さまの期待に応えることになると考えています。
当社は個人の方々が働くための社会インフラ創りを目指しています。ぜひ長期的な目線で応援をお願いします。