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2020-01-20

細胞等加工受託サービスにいち早く参入し拡大市場で成長を続ける――セルソース株式会社 代表取締役社長CEO 裙本 理人

セルソース株式会社
証券コード 4880/東証マザーズ

代表取締役社長CEO 裙本 理人
Masato Tsumamoto

バイオベンチャーの大半が赤字決算から抜け出せないなか、創業1期目から黒字を達成し、高い成長率を維持しているのが再生医療用細胞培養加工を手がけるセルソース。マーケットのニーズに応える経営を心がけているという裙本理人社長に再生医療に対する考え方と今後の成長戦略を聞いた。

取材・文/山本 信幸 写真撮影/寺崎 誠三

再生医療のセントラルキッチンとして医療機関に細胞等加工物を届ける

―― 御社は再生医療市場のどの分野を事業領域としているのでしょうか。

裙本 2014年に施行された再生医療等安全性確保法により細胞加工の外部委託が可能になり、新たに再生医療市場が生まれました。当社が展開する再生医療関連事業の取引先は全て医療機関様で、その先に治療を待つ患者様がいます。収益の90%は整形外科領域の関節の痛み(変形性膝関節症等)、スポーツ傷害の治療から得ており、10%は形成外科領域の乳房再建です。

 関連法規の施行前は再生医療を患者様に提供するにあたって、投与する細胞の加工等について、それぞれの医療機関様が個別に対応していました。そのため医療機関様ごとにCPC(細胞培養加工センター)を持つ必要がある等負担が大きく、再生医療に踏み切れない医療機関様も多くありました。

 関連法規施行直後の2015年に創業した当社は、全国の提携医療機関様の外部委託先として細胞等の加工を受託し、医療機関様の負担を軽減する、いわば“再生医療のセントラルキッチン”の役割を果たしています。

 具体的には脂肪由来幹細胞加工受託サービスと血液由来加工受託サービスを提供していて、後者は特許を取得したフリーズドライ化技術により、医療機関様内で常温・長期間の保存ができるようになりました。細胞等の加工のほかにも、法で定める諸手続のコンサルティング、医療機器販売も行っています。このように再生医療の領域におけるトータルサポートを提供しているため、街の整形外科クリニックのような小規模な医療機関様から、大きな総合病院まで当社のサービスが採用されています。

 また、再生医療における研究成果や培ったブランド力を生かしたスキンケア化粧品「Signalift(シグナリフト)」を販売するコンシューマー事業も手掛けています。

―― CPCの建設には相当な投資が必要ではありませんか。

裙本 当社が厚生労働省関東信越厚生局より「特定細胞加工物製造許可」を取得している再生医療センターは、東京・渋谷のビル内にある都市型CPCです。必要最低限のコンパクトな設計のため固定費が抑えられ、高い稼働率を実現しています。また都心にあるため優秀な人材の確保がしやすく、物流網が整っているため輸送コストも削減できています。

多くの治療実績を強みに更なる成長を見込む

―― 関連法規の施行後に参入した競合企業も多いのではないですか。

裙本 再生医療が実施あるいは研究されている診療科は、当社が対象とする整形外科、形成外科のほかにも眼科や循環器科等多岐にわたり、それぞれの企業で研究している疾患が異なります。

 当社がサポートする変形性膝関節症に限っても、国内の推定有病者数は2,530万人以上と言われています。高齢者に多く発症する病気のため、患者数は今後も増加していくと考えられます。提携している医療機関様の数と加工受託の件数はこの1年で大きく増えましたが、まだ推定有病者数の0.1%未満であり、市場の潜在性は高いと考えています。

 これまでの変形性膝関節症の治療の選択肢は、症状が軽度ならヒアルロン酸注射、重度なら人工膝関節置換術が用いられていて、その中間がありませんでした。再生医療は、ヒアルロン酸注射では効果が得られないけれども人工関節には抵抗があると感じている患者様に新たな選択肢を提供しています。

―― 競合他社に対する強みは、どこにありますか。

裙本 さまざまなバイオベンチャー企業がいろいろな技術を開発していますが、素晴らしい技術や研究結果があるからそれをサービス化するという“技術ファースト”のケースも多く見られます。一方で、当社は「そこに課題はあるか」ということを常に追求しています。実際に、膝の痛みという“課題=マーケット”から入って、誰かの課題を解決するという“価値”を提供することで創業1期目から黒字を実現しました。営業キャッシュフローでしっかりと拡大できているため、健全な財務体質を基盤にして次の領域に進出することができます。

 当社は先行者メリットとして多くのデータを蓄積しています。医療機関様は実績を重視するので、数千例の治療実績や論文、学会発表は当社の資産であり強みになっています。非常に営業がしやすい環境にあり、グローバル市場への進出も視野に入れ事業を推進していきます。

―― 再生医療は自由診療ですが、保険適用外となることで、利益を得る機会を逃すのではありませんか。

裙本 国民皆保険制度は日本が誇る素晴らしい社会保障制度ですが、少子高齢化の進行により医療費支出はさらに拡大していくでしょう。社会保障制度を維持するためには、米国のように患者様自身で保険診療、自由診療を選ぶ時代が必ず来ます。そこで当社は自由診療の分野で、企業努力により患者様が受け入れやすく、医療機関様も当社も相応の利益が得られる「適正価格」を実現することを目指しています。当社は利益を得ることで納税をする。それが国の財源となり、保険診療に回ればいいと思います。

―― 上場の理由を教えてください。

裙本 この4年間の治療実績により、世の中を幸せにする事業であるという確信を持ちました。さらに広めるためには、多くの医療機関様や公的機関様等との取引が必要になり、経営の透明性さが求められます。そこで社会的信用の獲得を目的に上場を決めました。

 株主還元は重要と考えていますが、現在は成長フェーズにあることから、資金の使い途はフェアに考えていきます。その上で、いずれ配当を含めた株主還元を行うことになるでしょう。
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