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2016-03-18

出版社から情報加工会社に転換し、ビジネスの幅を飛躍的に拡大──株式会社 鎌倉新書 代表取締役 社長 清水 祐孝

株式会社鎌倉新書
証券コード 6184/東証マザーズ

代表取締役 社長
清水 祐孝 Hirotaka Shimizu

「人と人とのつながりに『ありがとう』を感じる場面のお手伝い」というコンセプトでビジネスを展開する鎌倉新書。印刷物を発行する出版社からインターネットを通じた情報加工会社に転換して業績を伸ばしている。清水祐孝社長に転換の理由と成長戦略を聞いた。

(取材・文/山本 信幸 写真撮影/和田 佳久)

出版社の信用を残しつつ、紙媒体からネットへ転換

――出版からネットメディアへ主力事業を変えた経緯を教えてください。

清水 当社の主要事業はインターネットメディア事業、出版メディア事業、コンサルティング事業です。1984年の創業時は出版社として、供養関連事業者向けの雑誌等の出版物を発行していました。しかし当たり前のことですが、お客さまは「出版物」というモノが欲しいのではなく、そこに書いてある「情報」が欲しいのです。出版という形態は情報を伝える方法論に過ぎません。そこで私は会社を「出版社」ではなく「情報加工会社」であると定義づけました。情報加工会社が情報をお届けする手段は紙媒体である必要はないのです。

 そこで2000年にまず「いい葬儀」という供養業界初の葬祭会社情報検索ポータルサイトを開設しました。2003年には「いいお墓」というように次々とサイトを開設していきました。 現在は「いい仏壇」「遺産相続なび」など、数十のポータルサイトの運営を通してお客さま(消費者)と事業者をつなぐ事業を行っています。

――それでも社名を変更しない理由は?

清水 鎌倉新書という社名を守っている大きな理由は、出版社は「信用されている第三者」であるということです。以前の鎌倉新書は企業に取材して記事を作成し、企業向けに販売するBtoB企業でした。つまり情報の仕入れを企業から行い、出版社の立場でお客さまの気持ちを分析して記事に仕上げ、別の企業に販売していたわけです。ポータルサイトを開設した今は、お客さまから直接情報が集まります。お客さまがポータルサイトにアクセスしたり情報を提供してくれる理由は、サイトの運営者が出版社である安心感があるためです。また紙媒体での情報の販売は難しくなっていますが、情報の仕入れでは出版社の社名のほうがやりやすいという側面もあります。

供養関連業界を横断的に網羅した唯一のサイト

――どの業界でも一部の勝ち組企業による寡占化が進んでいますが、葬儀をはじめとする供養関連業界も寡占化が進行しているのでしょうか。

清水 葬式やお墓、仏壇に関しては宗教的慣習や地域性が強く、一括仕入れで販売するといった単一オペレーションによる全国展開が難しい業種です。中小事業者が多数を占めており(※)、シェアは大手葬儀社であっても数%程度。そのためブランドが確立しにくいのです。

※経済産業省の特定サービス産業実態調査報告書によれば2014年の冠婚葬祭業の事業者数は9,862事業所で、従業員規模別では4人以下が約32%を占める。

――それは消費者が情報を得にくい業界でもあるということですね。

清水 昔は生まれ故郷で一生を過ごすことが当たり前だったため、故郷の慣習に則った葬儀に何度も参加する機会がありました。今は故郷を出て東京の大学に進学して就職、大阪支店に転勤し、東京へ戻って埼玉県に家を持つというように生活拠点がいくつも変わるケースが珍しくありません。そのためいざ葬儀と向かい合った時に、情報がまったくないのです。そんな時に、私たちのポータルサイトが役に立つのです。

――葬儀関連のポータルサイトではオンリーワンのポジショニングということですが、例えば知名度が高い異業種企業が運営する「イオンのお葬式」などはライバルになりませんか。

清水 お葬式に関連したポータルサイトは他にもありますが、供養関連業界で長くBtoB向け情報ビジネスをしている弊社には、お葬式・仏壇仏具・お墓というように業界は異なるけれど、お客さまには葬儀の後に必要になる関連情報を横断的に提供することができるという特徴・強みがあります。

 弊社はお客さまがライフタイム(生涯)の流れ中でどんな点で困り、何を求めているのかという視点で、提供できるサービスを考えています。そこでお葬式の前の段階である「看取りコム」という介護・在宅医療から看取り・ホスピス・ターミナルケアまでを扱うサイト、「セラヴィ」という充実したライフエンディングステージの創出をサポートするサイトなども立ち上げているのです。

――「Yahoo! JAPAN」とも提携しています。その目的はどこにあるのですか。

清水 「Yahoo! JAPAN」が運営する「Yahoo! ロコ」に対し2011年11月から斎場・葬儀場情報の提供を行ってきました。13年7月に結んだ業務提携では、葬儀および関連サービス手配の取次を「Yahoo! JAPAN」上で行うことで、お客さまの課題解決に寄与するサービスの実現を目指しています。共同運営サイトとしては14 年に開設した総合終活サービス「Yahoo!エンディング」、全国一律料金でできる葬儀社を案内する「ヤフーの葬儀手配」などがあります。インターネットユーザーが年齢を重ねていく中で将来、大きな成果が期待できます。

士業等の周辺業種を取り込み、売上高の上乗せを目指す

――供養関連業界から見ると、インターネットのポータルサイトに参加するメリットはどこにあるのでしょう。

清水 この業界は葬儀の依頼をしたい、お墓を買いたいというお客さまを見つけるために多額な広告宣伝費や販売促進費をかけています。しかし弊社のポータルサイトを利用すれば、コストをかけずにお客さまに知っていただくことができ、売上が立って初めて一定の広告費を払う契約なので、キャッシュフローが痛まないというメリットがあります。ポータルサイトに参加している事業者(拠点数)は仏壇1,000店舗、葬儀で2,000斎場、お墓で4,000霊園にのぼり、日本全国でサービスを提供することができます。また、お客さまのアクセス数も着実に伸びています。

――売上高も伸びていますか。

清水 売上高は既存のサービスだけで年間20%のペースで増やしていけるでしょう。加えて新規ビジネスとして遺産相続などを扱う士業とのネットワーク強化や介護施設や訪問看護ステーション、病院のような隣接する分野との提携も増やしていく計画です。

――株主還元については?

清水 できる限り早く本則市場にステップアップし、その段階で配当や株主優待などの株主還元を考えたい。インターネットサービスは巨額な設備投資や在庫を必要としないため、内部留保を増やすというより、適切な株主還元を実施するつもりです。
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