桃原の牡丹杉
所在地 高知県長岡郡大豊町桃原
幹周 11.8 m
樹高 38 m
樹齢 1200 年
国道32号線が香川から高知県大豊町に入って間もないところ、深いV字谷の上方に桃原地区の集落が見え隠れしはじめます。心細いようなつづら折れの森の中の山道を進むと、突如視界が開け桃原の集落に行き当たります。山の斜面になぜこのような集落が……と感じてしまいますが、隠れ里の多い四国ではごく日常の光景なのです。
この桃原地区入り口に熊野十二所神社があり、拝殿脇の斜面にあるひときわ大きな盆栽仕立てのようなスギが牡丹杉です。1200年もの昔、京都から流れてきた巫女達が植えたものが生長していったものとされており、一般のスギとは雰囲気が異なり、盆栽のようなもこもこした葉が特徴で、見ていても飽きのこないなかなか味わい深い樹形です。
枝葉の形がボタンの花を連想させるところから、牡丹杉と呼ばれ親しまれるようになったと伝えられています。
幹の太さも12mに迫る全国でも有数なスギなのですが、大豊町といえば縄文杉と並び称せられる全国最大クラスの「杉の大スギ」(幹周15・6m)があまりにも有名で、陰に隠れた存在となってしまっており、とても残念です。このスギも他の市町村に存在していたら観光の目玉とも成りうるほどの名木であると思われるのですが……。かつてはこのスギに天狗が住んでいたと伝えられることから、天狗杉の別称で呼ばれることもあるといいます。
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