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2015-05-01

EUの東方拡大から10年── ウィーンに中東欧の鉄道ハブがオープン

オーストリア・ウィーン

ドイツ~オーストリア~ハンガリー・チェコを結ぶ新型特急「レールジェット」

ドイツ~オーストリア~ハンガリー・チェコを結ぶ新型特急「レールジェット」

 オーストリアの首都・ウィーン。「音楽の都」として知られるこの街はオペラやクラシックが楽しめる街として世界中から数多くの観光客がやってくる。ところが、「ベルリンの壁」崩壊前の冷戦時代には、街からわずか50キロのところに東西陣営を隔てる「鉄のカーテン」が張られていたことはあまり知られていないかもしれない。

 そのウィーンで2014年12月、新たな鉄道ターミナル「ウィーン中央駅」が全面開業した。新駅が建てられた場所にはもともと、旧東欧圏やイタリアへの列車が発着する「ウィーン南」という駅があった。しかし、この駅は欧州の主要都市によくある「列車が頭から突っ込む」タイプだったことから運行に不便だった上、増加する旅客需要に応えられないとして、2006年に新駅の建設を決めた。

 中央駅は着工から4年半をかけてようやく完成。12面あるプラットホームはすべて「通り抜け式」となっている。また、中央駅の「エキナカ」には、大型スーパーなど100の店舗が入居、日本料理屋もあるフードコートがあったり、無料の無線LANが使えたりと至れり尽くせりだ。

 駅の案内板に掲げられた列車の運行ルートを細かく見ると、ミュンヘン発ハンガリーのブダペスト行き、グラーツ発のチェコ・プラハ行き、ウィーン始発のポーランドの首都・ワルシャワ行きといったように、かつての東側諸国に直行する列車がずらり。ウィーンが「欧州の東西を結ぶ鉄道のハブ」を目指していることがよく理解できる。

 さらに驚くのは、ウィーンの通勤圏が「鉄のカーテン」の向こう側であるチェコやスロバキア、ハンガリーの街まで広がっていることだ。冷戦時代にはこれらの国民は自由に国外への旅行が許されておらず、日本人も関係国の入国ビザを取得しないと行けない場所だった。

 ところが2004年の欧州連合(EU)の東方拡大で人・モノの動きが自由化されたことで、旧「鉄のカーテン」の東側にも工場や住宅の建設が進行。ウィーンから1時間ほどで通勤できる地域はこれら3カ国にまたがっており、ウィーン首都圏を走る近郊電車が隣の国まで乗り入れるようにもなった。

 ウィーンへは日本からの直行便も飛んでいる。新しい駅から、かつての「東側の街」に足を踏み入れてみてはどうだろうか。

取材・文/伊藤 雅雄  編集協力/堀内 章子
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