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ジャパニーズインベスターの記事をネットで配信、投資家ネット

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2016-08-23

投資には腸

木田知廣/作 野村俊夫/画

マネーカレッジ代表 木田 知廣
(Profile)
きだ・ともひろ。ラジオ出演や執筆で活躍する他、ストーリーを駆使して面白く投資を学ぶセミナーが人気を博している(サイト上から先着順で申込可能)。http://www.money-college.org

オリンピックはハラハラ

オリンピックが近づいてきて世間は盛り上がっていますが、筆者個人は「ワクワク」というよりは「ハラハラ」という気持ちが大きくなっています。というのは、オリンピックのたびにいるじゃないですか。期待されていたのに緊張に押しつぶされて本来のパフォーマンスをできない選手というのが。彼ら・彼女らの口惜しい気持ちを想像すると、単純にメダルを狙ってがんばれとは言えないんです。むしろ、結果はどうあれ、悔いがないパフォーマンスができるように祈るような気持ちで競技を見るケースが多くて、どうしても「ハラハラ」になりがち。年のせいなんですかねぇ……。

 ただ、不思議なのは、逆にメンタルが強いアスリートもいて、オリンピックのような究極の緊張感のときこそ実力を発揮するというタイプの人もいるんですよね。たとえば競泳の北島康介選手や柔道の野村忠宏選手。彼らがオリンピックで二連覇・三連覇という活躍ができたのは、肉体以上に精神のコントロールがうまかったからじゃないかという気がします。実際に、柔道の野村選手はあるインタビュー記事でこんな風に語っています(出典は末尾の参考文献です)。

「自分に声をかけてくれる人には二種類います。『絶対に優勝してこいよ』とかプレッシャーをかけてくる人と、気をつかって『金なんか意識せず、楽しんできてください』といってくれる人。自分としては、じかに『金メダルとってこい』といわれる方がうれしいんですよね。」

 うわ~、なんたるメンタルの強さだ……とびっくりしますが、これ、持って生まれたものばかりではないかもしれません。意外なところに秘密があって、それが、腸。そう、実は、腸と脳は密接に関係していて、腸内環境が素晴らしい人はメンタルが強いという説があるんです。

「え~、ホント?」と眉につばを付けたくなる方も、「逆」ならば心当たりがあるのでは? 逆というのは、脳内の緊張が腸に影響を与えるということ。プレゼンや大事な面接で極度に緊張すると、お腹が痛くなることってあるじゃないですか。あれだって、腸と脳の密接な関係の証拠に他なりません。もしも腸内環境をよくすることで強いメンタルを手に入れられるならば、投資にも役立つはずですから、その秘密を探ってみましょう。

腸と脳はつながっていた!

スタートポイントは人間の進化の過程です。赤ちゃんが生まれるまで、お母さんのお腹の中で生物進化の過程をなぞるという話は聞いたことがあるでしょうか? つまり、最初は原始的な単細胞生物のような受精卵が、分裂をくり返しながら魚類→両生類→爬虫類→哺乳類と徐々に姿を変えていくのです。その途中で脳が形成されますが、最初は幹細胞と呼ばれる細長い管なんだそうです。この一方に神経細胞が集まったところが脳になり、反対側はさらに管が伸びて脊椎となって、その終点が腸になります。したがって脳と腸は神経的には近いそうで、実際に人間の腸には脳細胞が存在し、「ニューロン」と呼ばれる情報伝達器官の数は脊髄よりも多いそうです。

 そして、その腸の中に入り込んでみると、実はけっこう細菌が存在しています。人間は、赤ちゃんとしてお母さんの体内にいるときは無菌状態なのですが、この世に生まれ落ちると様々な菌に晒され、それらが腸内で繁殖していき、やがては100種類以上の菌が混在する「腸内環境」が形成されます。「細菌が繁殖」と聞くとちょっと気持ち悪く思えるかも知れませんが、細菌といっても悪いヤツらばかりではなく「善玉菌」なんて呼ばれるビフィズス菌もいて、人間と共存共栄の関係を作っていくことになりますね。

 ただ、細菌もやはり生き物ですから、繁殖のための強い意志を持っているんですって。つまり、一人の人間の腸内だけでは満足せず、もっともっと多くの人間の腸内に住み着きたい、という欲求です。これを実現するために、細菌は先ほどの進化の過程で見たように、神経を通じて宿主である人間の脳にはたらきかけます。「もっといろんなところに行っていろんな人に会う機会を増やしなさい」と。他者と接触すればするだけ、他の人の腸内に「移住」できる可能性が高まりますからね。実際に、マウスを使った研究によると、腸内環境をよくする食べ物を与えたマウスは不安レベルが下がって、より社交的になったなんて結果もあるそうです。

 ということは……、冒頭に紹介したオリンピックのアスリートも、腸内がよい状態になっているからこそ、そこにいる細菌の脳へのはたらきかけが十分機能しているのかもしれません。結果として不安レベルが下がりメンタルの強さとなって表れた、そんな仮説も信憑性を帯びてきます。ひょっとしたら、北島康介選手の名セリフ、「チョー気持ちいい」は、「腸、気持ちいい」だったのかもしれませんね。

ヨーグルトが腸に効く?

では、ここからは腸内環境をよくする方法論を考えてみましょう。実はこの腸と脳の関係に注目する人は多くて、アスリートも関わる先端的な取り組みがされています。たとえば、サッカーのアテネオリンピック予選で活躍した鈴木啓太選手は、昨年惜しまれながら現役を引退したのですが、現在はアスリートの腸内細菌を調べて体調管理をサポートするベンチャー企業の社長を務めています。あるいは、腸内環境をよくするサプリメントや食品を見かけることも多いでしょう。そんないろんな情報がある中、筆者の個人的なお勧めは「ヨーグルト一気のみ」。400~500ml入りのヨーグルトの大きいパッケージがあるじゃないですか。あれをシェイクして一気に飲むのです。あ、ちなみに、腸を冷やすのはよくないらしいので常温にしてから、もしくはレンジでチンするのがお勧めです。筆者はセミナー講師として登壇する機会が多いのですが、これのおかげか緊張することはほとんどありません。まあ、医学的根拠があるわけではないので、試してみる方はご自身でリスクをとって欲しいのですが。でも、ちょっと面白いですよね。投資の前に、ぐいっと一杯、ヨーグルトで乾杯なんて。

【参考文献】
斉藤孝著『五輪の身体』(日本経済新聞社/2004年)

※本稿は投資に関する基本的な考え方を解説するために作成されたものであり、実際の運用の成功を保証するものではありません。実際の投資は、ご自身の判断と責任において行ってください。
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